壁の染み宝島への地図だった | ||||||||||||
其は 己が長欠 公の指定統計に挙がるを 露だに知らぬ頃の事 |
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独人ある小室の空間 漠々たる宇宙に同じ |
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臥して見上げる古家の天井 |
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板の木目はうねり、流れ渦巻き |
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時に嗤い、時に哭す |
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転じて見遣る室の壁面 |
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灰鼠の付けし痕か 蜘蛛の振舞いか |
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往々に変じる紋様の |
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或は濃く 或は薄く 描かれしは密なる地図 |
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黄昏の逢う魔が時 室の隅に扉が開く |
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扉の前には 水色の猫 扉の向うには 数多の原野 |
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猫は 指し笑う |
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さてさて 行かん 地図持て 行かん |
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